2019年の記事一覧

2019年5月15日更新武相荘の小さな畑

駐車場の入り口からのびる遊歩道沿いには、武相荘の小さな畑があります。

からし菜

花束のように咲いているのは、からし菜。よく見るとタネの入ったサヤも沢山。

チャイブ(西洋浅葱)

清楚な紫の花を咲かせているのは、チャイブ。西洋浅葱とも言うそうです。

大根の花

大根の花。少しずつ長いこと咲いています。タネも食用で美味しいのです。

井戸水

畑の反対側には井戸水を引いています。

黄花菖蒲

下の窪地に群生するのは黄花菖蒲です。ここのところ気候が良く、みずみずしい姿です。

大山蓮華

土手の下からウッドデッキの上まで枝を広げているのは大山蓮華、まるまるした蕾は思わず触りたくなってしまう可愛さですが、どうぞ開花までそっと見守ってください。

武相荘ショップ

ショップ店内も5月らしい誂えに。

日差しも風もやわらかく気持ちの良い季節です。

2019年5月7日更新ササバギンラン

ササバギンラン

武相荘の裏山に「ササバギンラン」なるものが咲いています。
庭師の北住さんが見つけました。
何本か確認されましたが、近年では非常に貴重なものらしいです。

2019年9月30日更新フォトレポート 武相荘のコンサート「日本の音 北と南」

2019年8月24日(土)に開催いたしましたコンサート「日本の音 北と南」のフォトレポートです。

武相荘のコンサート「日本の音 北と南」:前半
緑に囲まれた武相荘で、夕方の風を感じながらの屋外開催。
三線・ウッドベース・津軽三味線のお3方のライブに、沢山のご来場をいただきました。
三線:宮里英克,ウッドベース:羽立光孝
夕方から始まった前半は、三線の宮里英克さんとウッドベース羽立光孝さんによる沖縄音楽。
宮里さんの優しいうたと、包み込むような羽立さんのベース。
津軽三味線:山影匡瑠
日が落ちて闇に包まれた後半に登場は、津軽三味線の山影匡瑠さん
津軽三味線:山影匡瑠
迫力の演奏に空気がピンと張り詰め、参加者の息を飲む音が聞こえるようでした。
武相荘のコンサート「日本の音 北と南」:後半
第3部は全員が入り乱れてのセッション。どこまでも楽しく盛り上がりました。

天候にも恵まれ、武相荘での初めての試みは大成功となりました。
出演者の皆さま、そしてご来場の皆さま、誠に有難うございました。

2019年5月6日更新開催レポート 第8回お能への誘いの会「山姥」

2019年4月20日(土)開催 第8回 武相荘お能への誘いの会「山姥」
能楽師 シテ方喜多流 友枝雄人氏
能楽師 小鼓方幸流 成田達志氏
解説・司会 青柳恵介氏(古美術評論家 五蘊会会長)

「よし足引(あしびき)の山姥が。よし足引の山姥が山廻(やまめぐ)り、するぞ苦しき」

〈青柳〉

  • 晩年、白洲(正子)先生は山姥のこの言葉を自分のことのように言っておられました。
  • 山姥、楽じゃないよ。ということを仰っていた。

ものがたりの解説——青柳恵介氏

最初は、青柳先生によるものがたりの解説。
テキストを追いながら「山姥」を読み解くヒントを教えてくださいました。

  • 京に、山姥の舞を舞って人気を博す若い遊女(百ま山姥と異名をとる)がおりこの遊女があるとき、親の追善のため善光寺参りを志した。
  • 遊女は、越後と越中の境川の分岐点で、お参りをするのだから、とあえて厳しい道のりを選んだ。
  • 山中での異変。山中で突如として日が暮れてしまう。途方に暮れている一行に、宿を申し出てきた里女(実は本当の山姥)との遭遇。里女は遊女に山姥の歌を一節歌ってくれないかと乞う。やがて自分こそが本当の山姥であると明かす。
  • 恐ろしく険しい山中の景色。それを背景に、夜になり、いよいよその姿を現す山姥。
  • 自分は善悪を超えた世界にあると言っている。
  • 遊女に真実を突きつける厳しい一面を見せる。しかし最後にはあはれ、やさしさへ繋がっていくものがたり。

鼎談・その1

〈青柳〉

  • 友枝先生と成田先生に、このお能、山姥とはどのような曲か、まず伺っていきたいと思います。

〈友枝〉

  • 日本は山岳の国ですから、生まれるべくして生まれた曲だと思います。
  • また仏教では「山を開く」というのは修行そのものであって「山姥」は仏教と深く結びついた曲でもあります。
  • 舞っている自分(シテ)自身も、山姥とは何なのか?という問いかけを抱えて舞う、ところがある。
  • また技術的な面では、山姥の山廻り、この舞は体力的にも大変な曲です。

〈成田〉

  • 我々囃子方にとっては、よく出る曲、人気曲で年1回はやる曲です。
  • 囃子方は、出だしからワーッと10分間ほど演奏があるが、その後かなり長い時間やる事が無い。後シテの登場部分になって、囃子方の仕事が本格的に始まる。
  • この曲には秘伝と言うものがいっぱいある。たとえば深山(みやま)というこだま(﹅﹅﹅)のような表現。
  • 後シテの登場部分も面白い。フォルテッシモで始まり、ピアニッシモ、そしてシーンとして・・・シテが登場してくる。この流れは非常に珍しい。注目点がいろいろあります。

〈青柳〉

  • 「山姥」とは何なんでしょうか。

〈友枝〉

  • 曲舞(くせまい)」というものがある。——これは白拍子が舞うものですが——山姥は、まず成立していた曲舞を元に作られている。
  • お能らしいのは、全てをシテが舞う。(遊女の)百ま山姥が、本物の山姥に舞を乞われて舞うシーンがあるが、それはシテ(=山姥)が舞う。能楽ならではの感性。
  • 百ま山姥は当時のアイドルで、そのアイドルが舞っていた曲舞。シテとしては、山姥においては何としても曲舞を舞うというのがある。

〈成田〉

  • 若いころこの曲を認識して、最初に感じたのは、鬼なんだけれど優しい鬼なんだと感じた。

ここでお二人による山姥の一部の演奏を体験しました。

お話にあがった部分を体感。緊張感の高い演奏に、しばらく拍手が続きました。


〈青柳〉

  • 皆さん、素晴らしい体験をされました。ではあらためて、お話の続きを。どうですか。

〈友枝〉

  • 後シテ(山姥)が出てくる部分、山の風景が変わるんだけれど、その景色を謡うところは、目に見える外観ではなく、心の景色として謡わせている。

あら物凄(ものすご)深谷(しんこく)やな。あら物凄の深刻やな。寒林(かんりん)(ほね)()つ。・・・

  • 理解しようとした時に、意味はわからなくても、その()で感じることができる。
  • 名曲たる所以ではないか。

〈青柳〉

  • 今、とても大切なことをお聞きしました。
    僕ら観る側はどうしても
    「意味は何だ。」という風になるが、
    音で、という。
    これはとても大切なこと。

〈成田〉

  • (別の曲を引き合いにしつつ)山姥は非常に「こだま」を意識する曲です。

〈青柳〉

  • 途中で挟まれる「アイ狂言」があります。山姥って何だ、どういうもんだ?っていう狂言。たとえば、
  • 「鰐口が山姥になったってよ」「そんなはずないじゃないか」
  • 「山芋は毛がもじゃもじゃ生えているから、それが頭を出したんだよ」「そんなはずないじゃないか」
  • そんなやり取りがありますが、友枝さんは山姥をどう思われますか?

〈友枝〉

  • まず性別もある。
  • これは稽古ではないところで、祖父が言っていたが、山姥の出囃子は「まろみ」だと言っていた。
  • 陰と陽。山姥は特にそこを持つべきだと思う。
  • 後半の山姥は鹿杖(かせづえ)をついて出てくるが、杖の音が、山を廻る山姥の本性を表しているのかなと思う。

〈青柳〉

  • 鹿杖というのは、鹿の角を使った変わった形なんですが、持ち手の部分がついた杖で。長旅に適した杖のことです。
  • 成田先生、

〈成田〉

  • ——我々にとっては、まず出囃子が大仕事。
    小鼓大鼓は同一のテンポ感を刻むが、シテ方は「拍子あわず」の部分で、自在に謡うんです。
    我々の技術では、あしらい…会釈(えしゃく)と書いてあしらいと言うんですが、ほどほどにあわせる。これが非常に難しい。でも、ここを面白くしないと良い山姥にならない。非常に微妙さが必要で難しい。
  • そしてメインディッシュは「曲舞」。
    地謡8人と囃子方でテンションを高めていって、シテに気持ちよく舞っていただく。

〈青柳〉

  • 近代の演劇と違って、表現の解釈の幅が微量ですね。だからこそ感動も何百倍もあるのでは。

〈友枝〉

  • 僕も師匠から「解釈」を教わったことは一切無いですね。
    たとえば、さっきの拍子に合ってしまうとまったくつまらない。そういうことは教わるが、「解釈」というのは全く教わらない。

質問コーナー

〈参加者〉

  • 今日、武相荘での開催ですので、白洲正子さんとのエピソードがございましたら、ぜひ教えてください。

〈青柳〉

  • 私は白洲先生には骨董を通して知り合ったんですが、あるとき白洲先生に、ここにいる友枝雄人さんのお祖父さんの友枝喜久夫さんのお能が、大変良いから一緒に観にいこうと誘われました。
    当時私はお能は苦手だなと思っていて…そう言って遠慮しようとしたら、「お能だって骨董だよ!」って怒られた。
    「苦手なんて言ってたら、あんたの骨董は信用しないよ。」と言うふうに言われまして…。
    そして、友枝喜久夫さんのお能を見て、
    わからなくても良いものは良いんだ。と分かった。
    本当にその通りだと思いました。

〈友枝〉

  • 私は晩年しか存じ上げないのですが、ひとつ「私のすべての美意識はお能から来てる」ということを言われたことがあって、心に残る言葉です。

以上、第8回のレポートです。

毎回1回きりのライブであるお能、本番観劇の楽しみがぐっと広がりました。
出囃子が描き出す景色、拍子あわずの部分、クライマックスの曲舞。
そして、山姥とは一体何なのか。

本番でどう感じることができるか。今から楽しみです。

「山姥」の本番となる五蘊会は2019年6月15日(土)、
東京・目黒駅近くの喜多能楽堂での開催です。
[チケット情報] https://tomoeda-kai.com/schedule-noh/2385/

2019年4月18日更新刻々と変わる新緑の季節

今日は武相荘の奥山道、ミュージアムエリア側から歩いてみます。

階段になった坂道に、熊笹ともみじの若葉が綺麗です。
さらさらという風の音が止むと、鳥のさえずりが聞こえました。

竹林の前に咲く白い花はシャガです。

茅葺の母屋ミュージアム。左の枝は大きな白侘助、椿の木です。

石仏の隣には、白やまぶき。

レストランテラスは満開の雲南黄梅がひときわ華やかです。

レストランの前にひっそりと咲くのはムラサキケマン。
艶やかな姿ですが実は毒があるそうです。

正門までの通りにはツツジが咲き始めています。

ガレージのカフェから。

少し離れた場所に喫煙所のご用意もございます。

駐車場から入り口へ向かう遊歩道の斜面に広がっているのは、蕗の葉です。

やわらかな緑に包まれている武相荘です。

2019年3月20日更新春を歩く

春の訪れ 武相荘

井戸水が流れる、遊歩道の下側には、春の草が青々としてきました。

土佐水木 武相荘

枝いっぱいに軽やかな黄色の花をつけているのは、土佐水木。

土佐水木 武相荘

近くで見ると、なかなかの迫力です。

鶯神楽(ウグイスカグラ) 武相荘

土手の上、小さくて見づらいですが、可愛らしい花はウグイスカグラ。

ヒメツルニチニチソウ

正門をくぐって左手の地面に小さな紫の花。ヒメツルニチニチソウ。

バイモ

母屋ミュージアムの向かいには、面白い姿、貝母(ばいも)。

ムサシアブミ

こちらはムサシアブミ、これから首がぐーっと伸びてきます。

春の武相荘

遅咲きの椿は今が見ごろです。

椿 紅命蓮寺 武相荘

正門をくぐってすぐ左手にたくさん咲いているのは、熊谷。

椿 聚楽 武相荘

遊歩道のウッドデッキ側にたくさんの花をつけている、聚楽。

椿 黒侘助 武相荘

黒侘助

雪椿 武相荘

こちらは雪椿。母屋ミュージアム、正子の書斎の窓から見ることができます。

竹林と椿 武相荘

春がおとずれ、武相荘は新緑と美しい花々に彩られています。