武相荘の講座
「茅葺きと農業〜積み重ねる暮らし」

掲載日 2018年3月31日

このイベントは終了いたしました。ご来場の皆様まことに有難うございました。

現代の茅葺職人 中野 誠なかの まこと塩澤 実しおざわ みのる相良 育弥さがら いくや 3氏の鼎談・講演会

2018年5月19日(土)開催

「建築」や「暮らし方」に関心のある方にオススメの会
12年前、親方そして若手職人という立場で、武相荘の屋根葺き替えを見事にしてくださったお3方で、今では日本を代表する茅葺き職人の親方である、中野誠さん、塩澤実さん、相良育弥さんを講師に迎えての鼎談・講演会です。

さて、茅葺き屋根といえば武相荘の母屋(現ミュージアム)や、世界遺産として有名な白川郷の合掌造りに見られる古来伝統の屋根ですが、昭和初期ごろまでは日本中の美しい緑の中に当たり前の景色として存在していました。

現代においては、日常の中で目にする機会は少なくなり、旅先やTVなどで見る観光資源としてのイメージの強い茅葺きですが、
もともと日本の気候・風土に深く根ざしており、まさにお三方が活躍されてきたこの十数年は、持続可能で快適な住環境として、新たな注目を集めるようになってきています。

ところで皆さんは、この「茅(かや)」についてご存知でしょうか。
「茅」というのは、固有の植物名ではなく、生活の傍にあって屋根を葺くのに適して使われた植物全般のことを言うのだそうです。

運び込まれた茅 武相荘

中野誠 茅葺職人 写真中央 武相荘

屋根の刈り込み

屋根葺き替え 足場 武相荘

現代の都市生活からは、なかなかイメージ出来ませんが、
自然や農業がもっと身近にあったころ、たとえば稲作が盛んな地域であれば、田んぼの傍にススキを育て、季節になるとそれを刈り入れて茅として活用していたそうです。

茅には地域によって様々な素材が使われ、伝統的な日本の茅葺きだけを見ても、ススキ、ヨシ、小麦わら、稲わら、カリヤス、笹など材料は多彩です。
新たな活用を考える上でも、色々な可能性を秘めているとも言えそうです。

今回は「茅葺きと農業〜積み重ねる暮らし」と題し、葺き替えから十数年を経て少し傷んできた武相荘の屋根も見ながら、日本の風土と暮らしのあり方についてのお話を伺っていきたいと思います。

科学番組を見るような気持ちでご参加いただけたらと思います。
普段は関西に拠点を置き、(勝手にイメージする昔ながらの親方とは違った)オシャレな雰囲気お三方の楽しいお話会です。

※今回も講演会終了後は懇親会を予定しております、そちらも是非お楽しみに〜。(参加はご希望の方のみ)

お二人のプロフィールはページ下段にございます。

〈開催概要〉

  • 講師:中野誠氏、塩澤実氏、相良育弥氏
  • 開催日時:5月19日(土) 16:00~17:30予定
  • 会場:武相荘 能ヶ谷ラウンジ、
    後半は武相荘の母屋であるミュージアムへ移動
  • 定員:30名

〈料金・お申し込み〉

  • 講演会 3,240円(税込)
  • 懇親会 3,780円(税込)

    定員20名/ビュッフェ・ディナー/ドリンク付き(ビール・ワイン・ソフトドリンク)

  • お支払いは当日ショップ窓口にて承ります。※開催15分前までに受付けをお済ませ下さい。
  • 定員に達しましたため募集締め切りとなりました。
    ご参加の皆様どうぞお楽しみに。

    お申し込み後、万が一キャンセルされる場合には開催の1週間前までに必ずご連絡をお願い致します。

  • その他特典:武相荘ミュージアム観覧チケット2割引

    ※当イベントご参加の方/当日に限り有効/ご希望の方はショップ窓口にてお申し付けください。

中野誠
中野 誠(なかの まこと)
美山茅葺株式会社 代表取締役
1968年生。京都・美山町北(重要伝統的建造物群保存地区)で育つ。
22歳の時、イギリスを訪ねヨーロッパに多くの茅葺き屋根があることに衝撃を受ける。
平成4年4月、当時わずか3人の茅葺き職人・故野々村猶一師、故山崎辰之助師 (京都府現代の名工)、山内秀一師(京都府現代の名工)の3人に弟子入り。高齢の為、隣町の職人故久野卓一師、山形悦治師にも同行。
5年の奉公ののち、1年間のお礼奉公。その後、岡山県明石屋根工事有限会社・故長崎芳行師(国選定技術保持者)に師事。また奈良県・隅田隆蔵氏(国選定技術保持者)、田中正光師に師事。
全国の茅葺きを守るため、世界に日本の茅葺きを伝えるため、奮闘中。また次世代への継承にも力を注ぎ若手職人を育成中。

塩澤実
塩澤 実(しおざわ みのる)
1972年生。茅葺屋代表。
大学で環境デザインを学びながら建築が風景を環境を破壊している現実に悩んでいた折、一軒の茅葺き古民家の廃屋に出会い朽ち果て緑に覆われようとする痛々しい姿を、何故かとても美しいと思い惹き込まれた。卒業後京都府美山町へ移住、茅葺き職人の修行を積む。
関西を中心に職人として活動する傍ら、身近な草が茅という建材となり、美しい屋根となり、古くなれば肥料として土に還る、循環する茅葺きの環を広く体験出来る、茅葺き、茅刈りのイベントなど企画運営。

相良育弥
相良 育弥(さがら いくや)
1980 年生まれ。淡河かやぶき屋根保存会くさかんむり代表。茅葺き職人。
宮澤賢治に憧れて大地に生きる百姓を志すも、減反で米がつくれず「三姓」止まりに。そんな時に出会った茅葺きの親方に言われた「茅葺き屋根は百姓の業でできている」との言葉で弟子入り。
しばし土から離れ、空に近いところで百姓の住まう業を学び、修行を終え 2011年に独立。
現在はふるさとの神戸市北区淡河町を拠点に、民家から文化財まで幅広く手掛け、 積極的にワークショップも行う。空と大地、農村と都市、日本と海外、昔と今、職人と百姓のあいだを草で遊びながら、茅葺きを今にフィットさせてゆく活動を展開中。平成27年度神戸市文化奨励賞受賞。

吹き替え直後の武相荘母屋
2007年、葺き替え直後の真新しい武相荘の屋根。(撮影:速水諄一)