〈第15回〉お能への誘いの会
「三輪 神遊」
こちらのイベントは終了いたしました。次回開催もどうぞお楽しみに!
舞台本番を控える一番ホットなタイミングで能楽師ご本人に登場いただき、能の魅力に迫っていく武相荘の能楽講座。熱量高く、初心者にも、テーマをより深く知りたい方にも、楽しんでいただける会です。
講師は、4月に国立能楽堂でこの「三輪 神遊」舞台本番に挑まれる、主人公を舞うシテ方の友枝雄人氏と、小鼓方の成田達志氏、そして国文学者の青柳恵介氏です。
今回のテーマ「三輪」は、奈良にある三輪山の伝説を題材にして、室町時代に世阿弥が作能した曲です。三輪山の伝説については白洲正子も著していますので、少しご紹介してみましょう。
うまさけを三輪のはふりが祝ふ杉手ふれし罪か君に逢ひがたき
万葉集・丹波大女娘子
うまさけ(味酒)は、三輪の枕詞、はふり(祝)は神官の意で、その神官がいつきまつる三輪の神杉に手をふれた罪で、あなたに逢うことができないのでしょうか、と嘆いた歌である。
この一首の中には、酒と、杉と、男女の交りと、三輪山にまつわる歴史のすべてが秘められている。三輪は大和の中でもっとも古くから崇められた神山で、古事記には、その山の神が、夜な夜なイクタマヨリ姫のもとへ通ったと記されている。やがて姫は身籠ったが、夫が誰ともわからぬので、麻糸を針に通して、ひそかに男の衣の裾に縫いつけておいた。明方になって、男が去ったあとを辿ってみると、その糸は鉤穴を通りぬけ、三輪山の社でとまっていた。そこではじめて相手が人間ではなく、三輪の神の化身であることを知ったという。
——白洲正子・著「木 なまえ・かたち・たくみ」平凡社ライブラリー刊より
能「三輪」のストーリーは、上記の神話からはずっと下った時代の三輪の里を舞台に、そこに住まう僧が、ある女と出会うところから始まります。
後半には、この女が三輪の神としての姿を顕し、僧と向き合う姿が描かれます。
神話では男神であるはずの三輪の神が女性で表現されていたり、そもそも仏教の僧と神道の神があいまみえるなど、劇中で男と女、神道と仏教が入交り構成されているところが、一つこの能の大変興味深い部分となっています。
今回は青柳恵介先生が「古代神道と三輪の山」と題しこのあたりの不思議について、じっくり解説くださいます。
小書「神遊」
能楽師のお二人が4月にむけて取組み中の「三輪」には、演目の左下に「神遊」と記されています。これは能では小書(こがき)といって、通常の演出とは異なる、より高度な技術が要求される演出となる場合に示されるものです。
特に今回の「神遊」の演出は、舞をするシテの型、囃子方の奏法にまで非常に高度な技術を求められる小書で、一定以上の経験を積んだ能楽師だけに許されるものとなっているそうです。
どのような表現、難しさがあるのでしょうか? 対談、それからお二人による謡と小鼓演奏の実演を通して「三輪」さらには「神遊」の見どころ聞きどころを掴んでいただきたいと思います。
毎回、能と日本文化の、かなり深いところまで入り込んでいく本講座ですが、お三方のお話は、能の知識が全くない方にも楽しく分かりやすい内容となっており、好評を博し15回まで来ました。興味はあるけれど触れたことが無かった方、一度は見たけれど分からなかった・・・などという方もどうぞ奮ってご参加ください。お申し込みは下記より。
イベント後、参加者ディナーも開催!
(※お申し込みは別途。ページ最下部をご参照ください)
開催概要・お申し込み
開催日程 | 2024年2月24日(土) 15:30—17:00(開場15:00/途中休憩有り)※開始5分前までに入場ください。 |
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会場 | 旧白洲邸 武相荘 能ヶ谷ラウンジ |
定員 | 全席自由・40名 |
参加費 お申し込み |
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その他 |
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募集締切 | 講座2月22日締切、ディナー2月17日締切 |