「酒ずしを食べる会」レポート
掲載日 2015年6月24日
2015年6月21日(日曜)に開催致しました「酒ずしを食べる会」の様子をご紹介いたします。
この会は、鹿児島は東酒造さんの百周年にあわせて催されました。
酒ずしは薩摩ずしとも言い、鹿児島で古く江戸時代より親しまれて来た郷土料理です。
鹿児島特産の灰持酒(あくもちざけ)を用い、仕込みから半日を寝かして出来上がります。
(東酒造さんはこの灰持酒「高砂の峰」の蔵元です)
朝9時 仕込み
夕方の開宴に向けて、朝9時より仕込みが始まりました。
梅雨の最中、雨が降ったり止んだりのお天気でした。
いざ厨房へ。50人前の御飯に団扇するのは、東酒造の福元さんと、武相荘の牧山桂子、レストランのスタッフです。
酒ずしではお酢は使いません、冷ました御飯にたっぷりの灰持酒をあえます。
樺山家から使っていた桶に、御飯と具材を たいらに、交互に重ねて、詰めていきます。
具材は、本場鹿児島では、家々によって様々だそうですが、
山のもの・海のもの・さつま揚げを入れるのが一般的な伝統だそうです。
本日は鯛も鹿児島から。〜武相荘シェフの心意気です。
一番上の飾り付けが出来たら、ハランをしいて蓋を乗せ、重しをします。
桶よりひとまわり小さく作られた蓋は、重しで沈みこむようになっています。
重しをしてから少し待つと、桶の縁に出汁がにじんできます。
たまに様子を見ながら、しばらく置き、出汁が御飯へ吸い込まれて来たら再び重しを増やして出汁を出させます。それをまた御飯が吸って…を繰り返すことで「酒ずし」独特の味が出来ていくのだそうです。
途中で中を覗くことはしません。「酒ずしは、蓋を開ける時が一番のごちそう。」 と福元さん。同じ具材で作っても、その日の天気や少しの加減で味が変わってくるから、そこが心配でもあり、楽しみなところでもある。とのことでした。
夕方の出来上りが大変楽しみです。
夕方5時半 開宴
雨が心配されたにも関わらず、
キャンセルも無く、皆さん続々とお集りいただきました。
有り難いことに雨も上がり、晴れ間も見えて来ました。
「昔、酒ずしを食べる時には、皆まくら持参で集った」そうです。
(とはいえ灰持酒のアルコール度は13度程度、うまみ成分であるアミノ酸が特別豊富)
開宴の挨拶は手短に、いよいよメインイベント、酒ずしの開封です。
さぁ、出来映えは・・・
お見事。
灰持酒の独特のふくよかな香りが広がります。
小皿へとりわけ、お好みで、高菜や浜防風をちらして、いただきます。
ご飯は想像したよりハリがあり、一方、海老やイカはかなり柔らかくなっています。味はさすがに一体感があります。
この上からさらに灰持酒をかける、という食べ方もあります。
灰持酒はお酒としてはかなり甘みがあるのですが、不思議と味が引き締まり、何杯でも食べられそうな(危ない笑)、ごちそうになりました。
さつま揚げに、鳥のたたき、ピーナッツ豆腐も。とっておきの食材が並びました。
鳥のたたきは、鹿児島つながりで、神宮前の名店「きばいやんせ」から。
今回は、レストラン屋内と、長屋門の下、ガレージのカフェに
一つずつ桶を配しての会場づくりを行ないましたが、
夜が更けるにつれ、多くの皆さんが戸外で楽しまれていました。
武相荘の緑の香りに浸りながら
仲間と、また知り合ったばかりの方と楽しんで頂けたようでした。
ご参加いただいた皆様、誠に有り難うございました。
今後ともどうぞ武相荘で楽しむイベントへご参加ください。
酒ずしを、お家でもやってみたいという皆様、
東酒造さんのホームページにレシピがございますので、どうぞご参考ください。
//www.higashi-sz.com/kurozake_recipie/
ちなみに灰持酒(黒酒・高砂の峰)は、現在主に直販のみでの販売となるそうです。
料理に便利で面白いお酒です。こちらもぜひホームページからご確認ください。