掛軸「ほとけさま」熊谷守一・筆(模し)

正子旧蔵品、熊谷守一の書「ほとけさま」の模しです。
書との出会いについては鶴川日誌にも記されています。

掛軸「ほとけさま」熊谷守一・筆

おととし(昭和四十八年)の春、知人を介して、熊谷先生に字を書いて頂いた。何でもいい、お好きな言葉を、とお願いしたら、平仮名で「ほとけさま」と書いて下さった。今さら先生の書を云々するのも気がひけるが、それはおのずから頭が下がるような無心な字で、正に日本の「ほとけさま」はこういう姿をしていると、合点させるものがあった。(〜〜中略〜〜)私に下さった「ほとけさま」は、「すぐ書いたのだが、かけて、眺めている間に鼠に喰われてしまった。それでまた書き直したので長くかかった」と、さも面白そうに笑われた。黒田(辰秋)さんのお盆はお気に入ったようで、しばらく黙ったままで撫ぜていられる。奥様が不思議がって、「あなた、何しているのです」と尋ねると、「どっちが上だか下だか考えているのだ」といわれた。
——鶴川日記より

掛軸「ほとけさま」熊谷守一・筆

白洲正子旧所蔵品の模し

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